eXtreme Performance Systemの略らしい
経緯
筆者宅にはSurface Pro 10、EliteBook x360 1040 G8、14インチM2 Pro MacBook Proという3台のPCがあります。
どれも使い勝手が良いのですが、全台共通で保守切れなのと、デスクトップPCが無いせいでたびたびPC(というかUSBポート)が枯渇するので、新しく買おうと考えていました。
筆者の用件を満たすPCが無い
現在筆者はPCに下記のような条件を設けています。
① Intel Core i5-1235U以上の性能
② 32GB以上のメモリ
③ 着脱可能なNVMe SSD
④ 1920×1200以上、120Hz駆動液晶タッチパネル
⑤ USキーボード
⑥ 2-in-1
⑦ Thunderbolt 4ポート搭載
探してみると、というか探さずともわかりますがこの条件にマッチするPCはかなり少ないです。中でもネックなのがUSキーボードと120Hz駆動液晶です。
まず、USキーボードは一部製品を除いて国内ではCTOでないと入手できないので、この時点で幅がかなり狭まります。そして最近のPCはやたらとOLEDを搭載したがるので、液晶かつ120Hz駆動となるとこれもまた機種が限定されます。正直、上記①~⑦をきれいに満たせるのはSurface Pro 9と10くらいしかないと思います。
妥協する
ということで妥協します。
今回Surface Pro 10は続投する予定なので、持ち出し用途のために規定している2-in-1の要件は外します。その他の要件は外すくらいなら買わない方がマシなので譲りません。
これでいくとタイトルの通りDELL XPS 13 9350(2024)が良い感じに要件を満たしていました。個性的で個人的には欲しいと思えるデザインです。しかしXPSシリーズは上位モデル扱いで価格も高いので、安くなるのを待っているうちに「別に買わなくても良くね?」という気分になってきました。Panther Lake搭載製品の登場を待ってから買うか~という気分になっていたところ、メモリぼったくり祭りが始まり、Panther LakeはThunderbolt 5コントローラーを内蔵しないなんていう話も出てきたので、ぼったくられる前にLunar Lakeを狩っておこうという判断になりました。
ちなみに手持ち端末が先述の条件を満たしているかというと、Surface Pro 10以外は満たしていません。努力義務程度のいい加減な要件です。
| |
Surface |
EliteBook |
MacBook |
XPS |
| CPU |
〇 |
△ |
〇 |
〇 |
| メモリ |
〇 |
〇 |
× |
〇 |
| SSD |
〇 |
〇 |
× |
〇 |
| 画面 |
〇 |
× |
〇 |
〇 |
| キー |
〇 |
〇 |
× |
〇 |
| 形態 |
〇 |
〇 |
× |
× |
| TBT4 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
買った
購入時はブラックフライデーセール扱いで安くなっていました。元々このモデルは発売当初ベースモデルが260,000円で販売されていたのですが、販売から時間が経ったこともあり235,000円まで落ちていました。セールはその落ちた価格に対して適用されるので、最終的にカスタムをしてもベースモデルの価格くらいに落ち着きました。まあこの手のPCは割引価格が正規価格みたいなところはあります。
こんな感じでカスタムしました↓
プロセッサー:Core Ultra 7 258V
これはXPS 9350で選択可能なCPUのうち、Core Ultra 5 226VだとArc 130Vに落ちてiGPUの実行ユニット数が減るためというのと、XPS 9350に228Vがラインナップされていないせいで32GBメモリにできないためです。
メモリー:32GB
Lunar LakeはApple MのユニファイドメモリのようにCPU統合のメモリを採用しています。ので、CPUに左右されます。Lunar Lakeの特徴ではありますがこのブログ的には特に書くことないです。
OS:Windows 11 Pro
DELLのPCはセール時にHome→Proが+3~4,000円くらいでできることがあります。BitLockerとか使うのと、後から買うより安いのでここでProにしておきます。
ディスプレイ:タッチ2.5K 30-120Hz 500nits(つまるところ液晶)
デフォルトでは非タッチ液晶です。タッチパネルは意外と使うのでつけておきます。あとDELL的には宣伝や試供機ではOLED端末を推しているようですが、ただでさえOLEDな時点で使う気が起きないのに60Hzなので選択する理由がありません。
キーボード:英語バックライトキーボード
デザイン重視の端末でJIS配列は無いというのと、他の手持ち端末もMacBook以外はUS配列です。Macも次買い替えるタイミングでUS配列にする予定なので、今更JISを選ぶ理由もないです。
届いた
2週間くらいで届き、予定よりも2日早かったです。開封します。

デザインはアルミで統一されていて、端子類もUSB Type-Cのみでかなりシンプルです。


ACアダプタは60Wで、USB Type-C端子が搭載されていてUSB Type-Cケーブルを接続するタイプです。ACケーブルもUSB Type-Cケーブルも付属の物はごつくて取り回しが悪いので別のを使いたいラインです。

蛇足ですがDELLのナンバリングセンスは微妙で、XPS 9350という同じ名前のモデルが過去に存在します。
使う前に
本格的に使う前に、ちょっと弄ります。
フィルムを貼る
天板、ディスプレイ、パームレスト、Fnキーにアンチグレアフィルムを貼りました。この時にパームレストのCore Ultraシールが邪魔になるので、剥がして底面に移動しました。見栄え的にも邪魔だったのでちょうど良いです。
ディスプレイは閉じたときにあまり隙間がない設計なので、あまりフィルムは貼ってほしくなさそうでした。
今回フィルムはPDA工房のものを購入しました。①タッチなし液晶、②タッチOLEDの2モデル向けのフィルムは販売されていたのですが、タッチ液晶向けとして売られているものがありませんでした。適当に①タッチなし液晶向けのものを購入してたところ特に問題なく使えました。
回復ドライブを作る
確か32GBで足ります。普段他のPCだと2時間くらいかかるときもあるのに今回は30分くらいで終わりました。
この回復ドライブの作成機能ですが、実は回復パーティションをコピーしている訳ではなく、動作中のWindowsから必要なファイルをかき集めてUSBに書き出しているらしいです。本当かは知らない。
購入時にSSDを512GBのままにした理由は、どうも自力で交換できそうだと思っていたからです。というわけで早速。

バッテリーが内部の半分ほどを占めており、デュアルファンで冷やす構成です。Wi-Fiモジュールはオンボードで交換不可のため、ユーザー側で弄れるのはSSDくらいです。
SSDは新品を用意するつもりでしたがメモリにつられて高騰しているので、自宅で余っていたWD SN7100の1TBに換装。一応薄型のヒートシンクを付けておきました。
元から載っているPM9C1bは2230ですが、XPS 9310の構造的には2280も入ります。ただし、2280だと本体に元からついているヒートシンク?は使用できないので注意。

相変わらずSN7100は優秀ですね。
BitLockerをかけているので若干スコアの伸びが悪いですが、それでも薄型ノートPCとしてはかなり優秀な部類でしょう。
良いところ
多分ワッパが良い
一発目から「多分」とか適当さが滲み出ていますが。真面目にベンチマーク測定とかしていないので感覚でですが、Lunar Lake採用でワットパフォーマンスは良さそうです。Meteor Lake-UであるCore Ultra 7 165U比でも低発熱で軽快に動作している印象です。
Meteor LakeではP+E+LPEでPコアはHT対応でしたが、Lunar LakeではP+LPEでEコアとPコアのHTをバッサリ切っています。他方MTL-U比だと単純にPコアが2コア増えていたり、PコアもLPEコアも改良が入っているのでコア数減によるレスポンスの悪化とかは全くないです。むしろADL-U〜はコア数が多すぎてコアが遊んでいる傾向にあったので、無駄を切り捨てて性能向上と省電力性の両立を達成しています。

ファンが回っている時間も短いので不快感も軽減されます。ただApple Mほど発熱は低くなく、負荷がかかれば普通にファンは回ります。この辺のIntelマシンらしさは普通にあります。
メモリ32GBは最低限
これ以降に買うPCでメモリ16GBは無いなという感じです。他方筆者の使い方では24GBを超える場面はあまり無いので、32GBあれば当面は使えそうです。

LPDDR5x-8533を採用しています。先述の通りLunar LakeではCPU側にこれを統合しているので、ユーザーどころかPCメーカーも手を加えていないはずです。
2025年はスマホやiPadも含めて手持ち機器のメモリ増量に注力していたのですが、このメモリの価格の上がりようを見るとなかなかタイミング良かったなと感じます。
iGPUがまあまあいける
Iris Xe、Intel Arc(Meteor Lake-H)と期待を裏切られ続けてようやく「GTX1650」を引き合いに出しても良いのではないかというラインの性能になったと感じます。

FFベンチでは「普通」という評価ではあるものの、Core i7 1255U/Intel Iris Xe(96EUs)やCore Ultra 7 165U/Intel Graphics(64EUs)の2000点前後に対して約4000点と大きくスコアを伸ばしています。実際、フレームレートは前世代よりも出ている印象です。
他方iGPUらしさは健在で、唐突なフレームスキップは起きるほか、薄型ノートだと不安になるファンの回転が始まるのでやはりゲーム用に使うのは不適と思います。
唯一性の高いデザイン
タッチ式のFnキー、隙間の無いゼロラティスキーボード、境界のないタッチパッドを採用した個性的なデザインです。
INFOBARのタイルっぽいキーや、かつてEliteBookで採用していたタッチ式Quick Launchを感じるデザインで個人的にはかなり好きです。
全体的にはアルミボディで耐久性や高級感を出しつつ、パームレストはプラスチック的な素材なので冬場の金属の冷たさや、タッチカレントを感じない設計です。
ディスプレイも良い
WVA(多分IPS的な)液晶で解像度は2560×1600と、QHDをドットバイドットで表示できます。
リフレッシュレートは120Hz(30~120Hzの動的リフレッシュレート対応)、500nitsの輝度と色域はDCI-P3 100%という性能です。コントラスト比は2000:1と、FALD非採用の普通の液晶としては優秀です。

さて、この機種はDELL公式ではOLEDが全面推しされていますが、私としてはタッチ液晶モデル一択です。
本機の液晶モデルはOLEDに対して500nitsと輝度が高い、120Hzとリフレッシュレートが高い、最大消費電力が2W低いです。
どこを拘るかは個人の好みなのでもちろんOLEDでの利点を重視したい方もいると思いますが、筆者はこのラインナップだったら液晶一択と思います。屋外での利用の可能性を想定すると、どう考えても輝度が高く消費電力が低い方が有利です。焼き付きのリスクもありますからね。
特にHDRとかの記載は無かったので期待もしていなかったのですが、実はHDRをオンにできます。一応Dolby Vision認定があるのと10ビット対応ですが、ハード的に本当に対応しているのかは不明です。あとHDRオンにしたときはディスプレイ輝度を上げるとやや白飛びします。ので、HDR機能には期待しない方が良いです。
その他、30~120Hzの可変リフレッシュレートに対応します。ただ、体感では応答速度がかなり微妙で120Hzで使っていても残像感があります。
LCDはC71M1というもので、SHARP製のSHP158F (LQ134Z1)という型番です。この手のノートPC向けディスプレイはLG製が多いのでてっきりその辺だろうと思っていたのですが、SHARPは珍しい気がします。
色温度は低め...というかやや緑がかっています。
分かりにくいがコストはかかってる
その他、上位モデルだけあって手間かけてそうだなと思う箇所はポツポツあります。
左右配置のUSB Type-Cポートは、左右どちらも機能が同じで、充電やDisplayPortでの映像出力ができます。基本的にこの手のポートは横並びになっていることが多いです。理由は簡単で、遠くに配置するとその分信号線を引っ張るために手間やコストがかかるからです。XPS 9350では左右かつ本体の奥に配置しており、接続機器同士が干渉しない配慮された設計になっています。
カメラはUSBではなくMIPI CSI-2で接続されており、ノイズが少ないです。
evo edition準拠
Intelはこの手の宣伝が下手なのかやる気が無いのかよくわからず、積極的に情報発信しないので相変わらず「evoだから何?」状態なのですが。Lunar Lakeで要件が変わったのかどうかもよくわかりません。
かなり雑に説明するとMacBookのような快適なUXを備えたPCに付けられる称号です。つまりevoのPCは快適に使えるものが多いです。
気になる箇所
価格に見合っていない箇所が多い
金かかってると書いた後に手のひら返していきます。
まずクアッドスピーカー採用ですが、同じくクアッドスピーカーのEliteBook x360はおろかデュアルスピーカーのSurface Pro 10比でも明らかに音質が悪いです。WavesMaxxで調整すれば直るのか…?と思いストアアプリから落としてきて調整しましたが私の気に入った感じには落ち着きませんでした。音がスカスカしている上に波打って聞こえるんですよね。
最高に納得いかないポイントは上記の通りですが、その他にもカメラシャッターが無い、タッチパッドの反応が悪い等ここ手抜いちゃう?みたいなところがありました。
キーボードの使い勝手が微妙
これはデザインに振っているので納得している箇所ではあるのですが。
まずキーボードはゼロラティスキーボードを採用しており、隙間がない設計になっています。アイソレーションキーボードではないので、隣のキーの誤押下は多いです。ほかの人のレビュー記事とか読むと、割と慣れるらしいので慣れるまで使います。
タッチファンクションメディアキー採用でFnキーがタッチ式なのはそれ自体は問題無かったのですが、EscとDeleteの判定が意外と狭いのと、Fnロック時に裏のキーのLEDが消灯するのでFnキーを押すまで位置がわからないという問題があります。
あとこれはこの機種特有の問題ではないのですが、Copilotキーは使わない上に景観的にも邪魔です。
さらに電源ボタンの押し心地がかなり微妙です。キーボードに混ぜ込んでおり誤押下防止で硬めなのは良いのですが、真っ直ぐ押した心地がしない、そもそも押せているのかわからない、かと思えば「ボチ」という微妙な音がする、という最上位機でこれはどうなのか?という感触がします。
異様に回復キーを求められる
これはWindowsが悪いのかXPSが悪いのか判断が付かなかったのですが、他の手持ちWindows機では発生しないのでここに書きます。
BitLockerをオンにしているというのは先述の通りですが、BitLockerはTPMがキーを忘れるか、不正な起動処理を検知しない限りは通常自動で複合します。しかし今回のXPSは使用開始直後から4回に1回くらいの頻度で回復キーを求めてきます。
Thunderboltドックを使ってるから起動処理で引っかかっているのか?とも思ったのですが、それ言い出したら頻繁にドックを着脱してるSurfaceはどうなるんだって話になるのでこの機種固有の問題なのではないかと注視しています。
その他
余談的な。
充電周りの仕様
本機には60WのUSB Type-C充電器が付属しています。
では本体に60Wを超えるUSB PDアダプタを接続するとどうなるかというと、60Wまでカットして受電します。つまり、本機に60Wを超える充電器を使用したとしても特に充電が速くなるとかはありません。
付属の充電器も非常にシンプルです。USB PDの規格に則っている以外は余計なものを搭載していません。

ケーブル側はeMarkerを搭載していないため3Aまでの対応です。2mとはいえ、3Aしか対応しない割にゴツいです。

USB Type-Cポートの仕様
先述の通り、左右のUSB Type-CポートはどちらもThunderbolt 4でUSB PD、DisplayPortに対応しておりどちらも機能は同じです。
PCIe 4.0 x4を内包しています。(ただし4GB/s近くで頭打ち)
あまり使用する機会はないですが、USB 3.2 Gen 2×2に対応していることも確認できました。

総評
個性を持たせたSurface Laptopという印象です。こだわる方面がポート類は極限まで削ぎ落としつつ、MIPI CSI-2や電源、映像出力端子を両側に置く目立たない気遣い等Surfaceに似ています。正直に言えば、全体の完成度はまだSurfaceの方が一歩先を行っている印象はあります。
各パーツの水準が高く、デザインに振りすぎている面はあるものの基本的には使いやすい端末です。不満点を差し引くと価格と見合っていない感は否めません。非セールの初期価格では、この構成は30万円を超えていました。
ところで12/30現在XPS 9350のCTOの幅がかなり狭くなっています。後継機は現時点で出ていないはずですが、もしかしたら生産終了しているのかもしれません。
特にプラチナのUS配列キーとタッチパネル液晶の組み合わせを選択できなくなっているので、ギリギリ確保できて良かったです。