最近新品SSDの価格高すぎません?
経緯
USBメモリだと遅かったり、容量が足りなかったりという感じなので、筆者は端末間のデータ移動の際は大抵SSDを使用しています。
ただSSDは高速大容量な分消費電力が高く、iPhone等のバスパワーが非力な端末だと動かないことや安定しないことがあります。
また、M.2 2280 SSDを丸ごと外付け用USBケースに入れるのでまあまあデカいという物理的問題もありました。
現状
WindowsだけでなくMacやiPhoneともデータをやり取りする都合上、高速かつ省エネという観点に力を入れてSSDとケース選びをしていました。
その中で筆者が導き出した最適解はSSD側にDRAMレスでPCIe 4.0に対応するWD SN7100、ケース側にUSB 40Gbps対応しつつUSB 3.x以下との互換性も確保したASM2464PD搭載製品を組み合わせたものでした。
この構成は、PCでは3,600MB/sという高速転送ができながらiPhoneのバスパワーでも動作できるという最適解に近い構成ではありましたが、M.2 2280が丸々入っているのと、高速転送時の発熱対策でケース側にファンが搭載されているため物理的に大きく持ち運びに向かないという課題がありました。
最終的にケース側をより小型なものにすることである程度解消はしましたが、それでもUSBメモリやスティックSSDと比べるとどうしても嵩張るというのが実状でした。
M.2 2230採用で緩和を狙う
M.2 2230 SSD採用により小型化を狙う計画を立てたこともありますが、2230 SSDも2230ケースもほぼ流通していないという分かりやすい理由によりこの計画は頓挫します。
SSD側はSN7100の2230版が流通する気配が無く、OEM向けのSN7100Sはラインナップとして存在はしているものの結局実物は流れてきませんでした。1世代前のSN770Mは流通数もまあまああり筆者の手元にもありましたが、SN770(M)は思いの外消費電力が大きくiPhoneでの使用に懸念が残ります。
WD以外に目を向けてもM.2 2230は需要が細いらしく碌なのがありません。
ケース側も2230のものはほとんどなく、ASM2464PD搭載品はさらに限られるのでした。
小さなUSB4 SSDが発売されるらしい
少し前にSUNEASTというところからEclipse E40という、USB4対応の小型USB4 SSDが発売されるらしいという情報をみかけました。
商品画像を見る限りはiPhoneのMagSafeに装着できるサイズ感で、実際にiPhoneでも動かせるらしいのです。
イメージ画像を見る限り、M.2 2230 SSDがちょうど入りそうなサイズ感です。しかもUSB4で、約4,000MB/s程度で転送できるとのこと。
SUNEASTに限らずNANDが内製できないメーカーのSSDは信頼性が微妙ですが、M.2 2230 SSDは頑張れば別で入手できないこともないのでこれを買って中のSSDを交換する作戦でいくことにしました。
当時の筆者は USB 40Gbps SSD = ASM2464PD搭載 と短絡的に考えていましたが、後にこれが間違っていることに気付きます。
買った
SUNEAST製なら安いんじゃないかと期待していましたがEclipse E40は思いの外高く、1TBでも2万円後半でした。ASM2464PD搭載ケースは5000~10000円程、Gen4の2280 1TB SSDが1万円強で手に入ることを考えると割と強気な価格設定と言えます。
実はEclipse E40の存在を知ってから暫く、この製品の存在を忘れていたので思い出して今更購入しています。
開封

金色のパッケージに包まれていました。

中身はSSD本体とUSB4ケーブルです。
iPhoneとの接続ができることをウリにしているようで、SSD側にMagSafeが付いているのと、USB4ケーブルも邪魔にならないよう短め、薄型のものが同梱されています。そんな訳でケーブルがどこまで信頼に足るかはわかりません。

SE-PS001T2LEL1WFという型番のようです。

MagSafeにくっつくのでiPhone 17 Proにつけてみました。
Windowsに繋いでみる
どうせASM2464PDに変なSSDが載ってるだけでしょはいはいと思いながらDELL XPS 13 9350のThunderbolt 4ポートに繋いでみたところ、なんか様子がおかしいです。

通常、ASM2464PDにSSDを載せてUSB4以上のポートに接続すると、CDI上ではSSD側のPCIeプロトコルが表示されます。例えば、Gen4対応SSDならPCIe 4.0x4と表示されます。
↓参考

が、対応転送モードが現在のモードがPCIe 1.0 x1、対応転送モードがPCIe 4.0x1と表示されています。過去にもSSDの組み合わせやThunderboltハブの接続状況次第でワーストケースでPCIe 3.0 x2とかになることはありました。しかしSSDでPCIe 1.0やx1は見たことがありません。
では速度はPCIe 1.0x1 (2.5GT/s)しか出ないのか?と思いベンチマークをしてみたところなんと4,000MB/s出ます。
Windowsの設定からUSBのリンク状況を見たところ、こちらはGen3×2つまりUSB 40Gbpsでリンクしているという表示でした。

付属のペラいケーブルがダメなのかと思いApple Thunderbolt 4 Proに変えてみましたが結果変わらず。
Macに繋いでみる
手持ち機器でUSB4に対応しているのは何もWindowsだけではなく、M5 MacBook Proも対応しています。

OS標準機能で考えた時、実はmacOSの方がぶっこ抜ける情報が多いです。
製造元がPhisonというのも気になりますし、やはりPCIeは2.5GT/sでx1なのでPCIe 1.0x1のようです。しかしUSB側は40Gbpsでリンクしており、実際にUSB 40Gbpsらしいスピードて転送ができます。

解体してみる

こうなると画面だけで情報収集するよりは、手元にある実物を解体した方が早い訳です。例によって側面からこじ開けた結果がこちら。

2230 SSDは入っておらず、何ならNAND 2枚とコントローラー1枚しかコンポーネントが載っていないという超シンプル構造です。何だこれ?
NAND
まずNANDですがT27HGA5A1Vというものが2枚載っていて、調べたところKIOXIA BiCS6 TLC NANDのようです。
選別落ち品とかで無いと信じるのであればかなり良いものが乗っています。
さっきの画像の通り片面にしかコンポーネントが実装されていませんが、裏面にもNAND載せられそうな見た目をしているので容量がデカい製品だとNANDが増えるのかもしれません。
コントローラー
こちらはPhison 製のPS2251-21 (U21)というコントローラーで、ASM2464PDのようにNVMe SSDを変換するものではなく、USB4ネイティブでデータ転送可能なSSDコントローラーのようです。CDIの表示がおかしかったのもこの辺りの理由でしょう。
USB4ネイティブなので高効率で発熱や消費電力が少なく高性能で、PCやiPhoneでもがっつり使用できる製品に仕上がっていたようです。
つまり、SSDの換装なんてできません。
OEM品っぽい
さらに調べていくと、どうもEclipse E40はPhisonのTalos Pro-Mという製品のOEM品であろうということがわかりました。つまり、ロゴ載っけて売ってるだけなのでSSDとしては信用に足る可能性が高いということです。
何社かロゴだけ書き換えて売っているようで、例えばNextorageからはNX-P4MGシリーズ、CorsairからはEX400Uシリーズとしてめちゃくちゃ見た目が似ている製品が販売されています。外装も貼り替えているのだとMSIのDATAMAG 40Gbpsあたりも恐らく中身は同じです。
中身は同じということで、価格も同じような感じなので個人的には保証期間が3年で在庫もありそうなEX400Uがおすすめです。DATAMAGは5年保証ですが在庫がない、というかPS2251-21自体やる気が無くなったのか全体的に品薄です。
M.2 SSDを載せ替えて使用するという野望は頓挫しましたが、結果的に割と良いものであるということに気付けました。
4TB版も入手してみる
こんなオールラウンダーSSDは欲しいというのと、たまたま中古で安いのがあった(こっちのが理由としてはデカい)ので、多分物としては同じ4TB版をハンティングしてきました。

しかしこれ型番どころかロゴすら書いてないですね。売却者は何処から手に入れた?
分解


4TB版も一応中身を見ておきます。
コントローラーは1TBと同じくPhison PS2252-21。
NAND(T28IGA5A1V)は容量が増え枚数も2→4枚に増加しているものの、1TB版同様KIOXIA BiCS6と思われます。思われます、というのはNANDにプリントされた印字をそのまま調べても情報が出てこない為です。似た型番のNAND(T2BIGA5A1V)があるので多分それだろうとは思いますが、例えば選別落ち品とかの可能性も無くはないのでこの記事では結論は出しません。
ところでこのシンプルな作りはUSBメモリみたいですね。

PS2251-21の弱点
省エネかつ高速かつコンパクトで、PCでもスマホでも行けるオールラウンダーSSDですが、実はわかりやすい弱点が存在します。
Thunderbolt 3端子では速度が出ない
PS2251-21はUSB4製品であり40Gbpsの速度が出ますが、Thunderbolt機器ではありません。公式には下記転送規格に対応しています。
・USB 40Gbps (Gen 3×2)
・USB 3.2 Gen 2×2 (20Gbps)
・USB 3.2 Gen 2 (10Gbps)
・USB 3.2 Gen 1 (5Gbps)
・USB 2.0 (480Mbps)
参考:ProductBrochure_Consumer_PS2251-21_070325.pdf
Thunderbolt 3について明記していないあたりから大方察しはつきますが、Thunderbolt 3には対応していません。USB4とThunderbolt 3は同じと言っている人がたまにいますが、技術的に似ているだけで別の規格であり、必ずしも互換性があるとは限りません。
で、実際にThunderbolt 3端子を備えるDELL XPS 13 7390 2-in-1に繋いでみました。

最近のWindowsはまあまあ優秀で、繋がれた機器に対してPCの端子が力不足であることに気付くと通知してくることがあります。

転送レートがUASPになっていることからもわかる通り、USB 10Gbpsでリンクしています。(DELL XPS 13 7390 2-in-1はUSB 3.2 Gen 2×2には非対応)

Thunderboltコントロールセンターで認識されていないので、USB 3.x以下のプロトコルでリンクしていると判断できます。Belkin以下略とShenzhen以下略はTBT4ドックとTBT3 SFP+アダプターなので関係ありません。
ASM2464PDも同様にUSB4対応のSSD向けコントローラーで、USB 40GbpsからUSB 2.0までカバーしています。
相性不良を嫌ってか公言している搭載製品は少ないですが、実はThunderbolt 3にも対応しています。


USBに加えてThunderbolt 3端末でも速度を出せる点がASM2464PDの強みです。
信頼性はPhison次第
今のところPS2251-21搭載製品はPhison製のものしか流通していないように見えるので、Phisonが闇落ちした場合は一撃でアウトです。
ASM2464PD搭載ケースでは、とりあえずSSD側はこちらで選定できるので、信頼性に振るのか、保証の長さに振るのか等柔軟性があります。容量の調整等含め融通が利くのもASM2464PDの強みです。
あと、ASM2464PDは結局のところPCIe x4の外出しなので、面倒ですが頑張るとdGPU繋ぐとかもできます。
USB 20Gbpsには対応している
Phisonの資料上には明記されていませんが、USB4の20Gbpsにも対応しています。

総評:ほとんどケースで外付けSSDの最適解
Thunderbolt 3以外の機器ではスマホ含め高速転送ができ、Thunderbolt 3端末でも10Gbpsで通信できることから致命傷にはならず、安定性やサイズ等トータルで考えるとASM2464PDよりも利点の多いSSDです。Phisonの信用に委ねられているという懸念点以外、これといった重大なデメリットも見当たりません。
流通数の少なさと価格面でも手を出しにくさがありますが、この辺りの事情はASM2464PDと大差がないので、USB 40Gbpsの外付けSSDにフォーカスするとこの上ない選択肢といえると思います。

































































