10とXが別機種とかいうナンバリングセンス
経緯
筆者はSurface Pro 9をメインPCとして使用しています。
概ね不満はないもののEdgeでタブを開きまくるとメモリが枯渇するという問題を抱えていました。
Surface Pro 9は購入から1年も経っておらず、購入当初は多少長く使える端末を導入したつもりでした。
正直、想定が甘すぎました。2025年、メモリ16GBは無理です。
そんな訳で筆者は下記条件に適合するPCを探していました。
- 2-in-1
- IPS液晶
- 120Hz駆動
- 14インチ以下
- メモリ32GB
- (目安として)10コア以上のCPU
- Thunderbolt 4
- US配列キーボード
この条件に適合するPCはものすごく少ないです。
今回、国内で手に入るなかで上記条件を満たしている、唯一かもしれないあの機種を手に入れることができました。
Surface Pro 10は法人向けのみの展開の、やや特殊な枠に属しているモデルです。法人向けなので基本的に個人では購入できませんが、中古ではちょくちょく流通しているので今回の筆者のようにやろうと思えば入手できることもあります。
外装から対応している機能まで、Surface Pro 9とほとんど違いがありません。順当にSurface Pro 9を強化させた機種です。
そんなわけで、せっかく両方実機が手元にあるのでSurface Pro 9と10を比較していきながら紹介したいと思います。
主な構成
サがつく、Surface:LP-Eコア付きCPU
Surface Pro 9はCore i7-1255UでPコアが2C4T、Eコアが8C8Tの10C12T構成でした。
Surface Pro 10はCore Ultra 7 165UでPコアが2P4E、Eコアが8C8Tでここまでは変わらないものの、LP-Eコアが2コア搭載されていて、12C14Tです。


タスクマネージャーをちょくちょく眺めていた限りではLP-Eコアが動いていることはあまりありませんでした。
Surface Proシリーズ的にはRaptor Lakeをすっ飛ばした状態ですが、Pro9のAlder LakeからPro10のMeteor Lakeでも体感性能差がほぼないので正直良いんじゃないかなというところです。
ただ、LP-Eコアが付いたことにより、より効率的に動作するんじゃないですかね (てきとー)。
サがつく、Surface:容量が倍増したメモリ
一応先に断っておくと、Surface Pro 9にも32GBメモリモデルは存在します。ただ、なんか高いです。
そしてSurface Pro 10は最大64GBの構成が存在します。そういう訳でSurface Pro的にも最大容量的な意味でメモリは倍増していますし、筆者の環境的にも倍増しているので一応この書き方で問題無いはず。

そして、メモリ32GBはやはり快適です。
筆者はブラウザのタブを普通に30個以上開きながら作業とかをやるので、16GBだと途中で動作がガクガクになることがあったんですよね。今回PCを探していた理由もメモリ不足なので、これだけで結構満足できます。

そして一応、LPDDR5-5200からLPDDR5x-7467になっているので速度も向上しています。体感は...できてない気がする。
サがつく、Surface:強化された通信機能
Surface Pro 9はIntel AX211を搭載してWi-Fi 6Eに対応していました。
筆者が購入したSurface Pro 10は5G対応モデルです。5G対応モデルの副産物として、Wi-Fi 7とBluetooth 5.4、GPSに対応します。(Pro10のWi-FiモデルはWi-Fi 6EとBluetooth 5.3なので、何故か差がある)

Wi-FiモジュールはIntelやMediaTek製ではなく、Qualcomm FastConnect 7800 HBS Multi-link 2x2です。AX211比で極端に遅いとか不安定とかもなく、別に普通に使えています。対応しているWi-Fiバージョンが5GモデルとWi-Fiモデルで異なるあたり、Wi-FiモデルはAX211を採用してるんですかね?
5GモデムはSurface 5G Mobile Broadbandと表示されています。物理SIMとeSIMに対応しています。中身はSnapdragon X65ぽいです。
代償として、本体のいたるところにアンテナラインが設置されています。
ちなみに、Surface Pro 9にも5G搭載モデルはありました。が、Microsoft SQ3というARMプロセッサ搭載モデルのみだったので、ぶっちゃけ微妙でした。
画像に写っている"Surface Ethernet Adapter"はSurface Dock側のものなので本機とは関係ありません。
Surface Pro 9はHomeでしたが、10ではProです。

これは10で格が上がったというよりは、単に今回購入したPro 10が法人向けなので11 Proが搭載されているという話です。(Pro 9は個人向けでした。)
経緯はどうあれ、Proが搭載されていて困ることはありません。筆者としてもBitLockerが使えたり、RDPができたりと恩恵が割とあるのでありがたく使います。
というか、もともとSurface Proシリーズは個人向けでもProを搭載していました。Pro 6辺りからケチくなり、個人向けはしれっとHomeに変わっています。

Samsung製のMZ9L4512HBLU-00BMVの512GBが搭載されています。多分PM9B1です。PCIe 4.0x4対応で実際それでリンクされているのですが、とにかくSSD側の性能がショボいです。

なにこれ?Gen3の間違いでは?という性能。Samsungの公式製品ページを見てもSEQ Readで3,500MB/sとかなので素でSSDの性能が良くないという話です。正直Surface Pro 9に搭載されていたGen3 SSDと大差ありません。見出しで「ちょっと」と控えめにしたのはそういう理由です。
他方、Surface Pro 10側のM.2スロット自体はGen4なようです。ので、SN770Mに換装したら良い感じになることを期待。
ちょっとサがつく、Surface:最後のIPS液晶搭載上位モデル
現行の最新Surface Proは11ですが、一応液晶モデルは残存しています。しかしそれは最下位モデルのみの展開で、少しでも構成を上げるとディスプレイも勝手にOLEDになってしまいます。この非常に迷惑なラインナップのせいで、筆者はSurface Pro 11に手を付けることができません。
Surface Pro 10はOLEDモデルは展開されておらず、どれだけカスタムしてもIPS液晶ディスプレイが手に入る最後のモデルです。Surface Pro 9のディスプレイとほとんど変わりませんが、微妙に性能差があります。
- SDR最大輝度が450nitsから600nitsになった
- コントラスト比が1200:1から1300:1になった
- 可変リフレッシュレートが30Hz-120Hzから15Hz-120Hzになった
変わってなくても誰も文句言わないレベルの違い。まあ、単純に性能は上がっているのでここは純粋に評価ですかね。パネルの製造元はSurface Pro 9と同様LG製です。

そんなSurface Pro 10のディスプレイに一点文句が。なぜ液晶の角を丸角にした?Surface Pro 9はしっかりとした四角系になるようになっていたのに、Surface Pro 10ではAppleのLiquid Retinaをパクりたくなったのか、角がラウンドしています。Surface Pro 10のディスプレイは3:2で動画視聴時は上下がデッドスペースになるためほとんど実害はなく許せる範囲ではあります。が、本体のベゼル幅が上下と左右で均一でない上にWindows 11のウィンドウのコーナー具合とも合っていないことからもデザイン的に微妙で、コンテンツの表示領域を考えた時もデメリットです。OS側も、このラウンドを考慮した描画はしないので、表示が微妙に見切れる時があります。ウィンドウの左上のアイコンが消える余計な事しないでほしいです。
とはいえ、有機ELディスプレイを採用されるよりはマシなので許容します。
ちょっとサがつく、Surface:NPU搭載

Intel AI Boostが搭載されています。
単体で11TOPS、CPU等合わせても30TOPS超えるくらいの性能らしいです。Copilot+PCの要件は満たしていません。
サがつかない、Surface:iGPUが微妙

Surface Pro 9のときはIntel Iris Xeで、Pro 10ではIntel Graphicsということで名称上は格が落ちています。
Intel Graphicsとはいいつつ、一応Intel Arc系のGPUマイクロアーキテクチャを採用しています。ただ、実行ユニット数に差があり、例えばMeteor Lakeでは人気のあるCore Ultra 7 155Hでは128でXe-coreは8ですが、165Uは64でXe-coreは4です。Meteor Lake-Uの最上位である165Uは、155Hのたった半分のユニット数しか持っていません。
ここで沸く疑問が、Core i7-1255UのIris Xe (96EUs)とCore Ultra 7 165UのIntel Graphicsはどちらが上なのか?です。という訳で、FF15ベンチを回してみました。

Intel Graphicsしょぼい。
Arcを名乗らないのも納得の性能です。ベンチマーク中はCPU側の温度読みで最大101℃を記録していました。
とはいえIris Xeの時点で4K120Hz HDRを2面出しても余裕で動き、ゲーム以外の要素では十分なパフォーマンスを発揮します。筆者は端からコレでゲームをする気はないので、まあ十分ですかね。
余談。
Core i7-1255Uと同じ96EUのIris Xeを持つ、Core i7-1165G7を搭載したEliteBookも同じような結果が得られるのでは?と思い本機とは全く関係のない調査をしてみました。結果がこれ。

Core i7-1255U比で明らかにスコアが悪いです。CPU、メモリ辺りが足を引っ張っているんですかね?

ポート類
サがつく、Surface:同じThunderbolt 4ポートだけど
Surface Pro 9もSurface Pro 10も左側面にThunderbolt 4ポートを2つ備えています。
名称上は同じで特にわかりやすい情報も書いてありませんが、実は微妙に機能に差異があります。
それはずばり、USB 3.2 Gen2×2のサポートです。Surface Pro 9ではUSB 3.2 Gen2までのサポートでしたが、Surface Pro 10ではUSB 3.2 Gen2×2に対応します。
WD Black P50という、USB 3.2 Gen2×2なSSDをそれぞれに接続して比較してみます。ケーブルはどちらもThunderbolt 4ケーブルを使用します。

P50に搭載されているコントローラーはASM2364です。ASM2364は相手がGen2×2非対応の場合は気を遣ってGen2で動かしてくれます。ので、Pro 9で動かした場合は10Gbpsで頭打ちになります。
一方、Surface Pro 10に繋ぐと20Gbpsまでいけます。
5GモデルなのでNanoSIMスロットがありますが、その他のポートは機能から位置まですべて同じです。
右側面にSurface Connectポートが付いています。筆者はSurflinkと呼んでいたのですが、基本的にはSurface Connectポートと呼ばれているようです。
基本的に給電に使いますが、一応データ通信にも対応しています。実はDisplayPortとかUSB 3.2系も流せる実用性の高さで、もはや「一応」というレベルの出来ではないのですがあまり認知されていない気がする。
キーボードのコネクタは、Surface Pro 10の公式ページでは「Surface Proキーボード専用ポート」と案内されています。Surface Pro 9までの「Surfaceキーボードポート」と何が違うのか?というと呼ばれ方が違うだけで対応機種から機能まで全く同じです。呼び方くらい統一してほしいものです。実際Surface Pro 9で使用していたSignatureキーボードをPro 10につけても使えますし、逆にPro 10用のSurface ProキーボードもPro 9で使えます。
その他機能
ちょっとサがつく、Surfae:バッテリー駆動時間が伸びた
地味にでかい要素で、Wi-FiモデルだとPro 9が15.5時間、Pro 10が19時間となっており、バッテリー容量が変わらない割に大きく伸びています。
ただし筆者のPro 10は5Gモデルで、5G接続時は16時間まで減るようです。それでもPro 9よりは持ちますし、5Gを切ればWi-Fiと同等まで伸びるような気もします。
いずれにせよ、一日使えるレベルまで持ちます。
ちょっとサがつく、Surfae:カメラが微妙に強化された
Surface Pro 9はフロントがFull HD、リアが4K撮影対応の10MPです。
Surface Pro 10はというと、フロントが超広角QHD、リアが4K対応の10.5MPです。
単純に画質が向上したほか、Surface Pro 9同様カメラの映像伝達にUSBを使用せずMIPI CSI-2を利用しているため、画質は他社の何の捻りもないカメラより確実に良いです。

実際に、ただのUSB接続カメラであるEliteBook x360 1040 G8と比較しても画質は一目瞭然です。EliteBookのカメラではノイズが乗りやすく動きもカクカクしていますが、Surface Pro 9と10のカメラでは鮮明かつ滑らかに映ります。CPU側のISPを使用する強みが明確に出ています。まあ、使わないんですけどね。
サがつかない、Surface:その他機能もほぼ同じ
MPPでのペン入力対応、顔認証等Surface Pro 9と対応機能が変わりません。
逆にサがつく、Surface:付属の充電器がショボい
Surface Pro 9では65W充電器が付属していましたが、10では39W充電器が付属しています。
筆者はThunderboltハブ経由とかで充電するのでSurface付属の充電器は滅多に使用しないのですが、39Wは出力がショボすぎて使う気が一切起きません。動確用のオマケか何かですかね?
逆にサがつく、Surface:evoではなくなった
これはSurface Pro 10で質が落ちたというよりは、evoの基準が厳しくなったというか別物になったというか、なことが原因です。
Meteor Lake以降のevo editionでは「Intel ArcまたはサードパーティdGPUを搭載」という規定があるのですが、Core Ultra 7 165UのiGPUはこの基準を満たせません。そしてSurface Pro 10はdGPUも特に搭載していないためやはり規定を満たせません。
とはいえ各仕様や機能はSurface Pro 9と同等以上の水準なので、おおよそevo edition機に匹敵するクオリティになっているとは思います。
というか、下手なevo edition機より快適です。以前筆者が購入したMeteor Lakeのevo edition機は電源オフからの復帰が遅い上に、カメラに映っていないにもかかわらず顔認証が勝手に解除されるという意味不明な不具合もあったレベルの出来の悪さだったので。
やったこと
周辺機器は引き継いだ
Surface Pro 9のアクセサリと互換性があるので、タイプカバーは引き継ぎました。
実は付属していたのですが、タイプカバーはJIS配列だった上にCopilotキーという邪魔なキーがついていたのでSurface Pro 9に押し付け、他方スリムペンはスリムペン2だったのでこちらは回収という地味にちぐはぐな状態になっています。
保護フィルム貼った
ディスプレイにガラスフィルム、背面にPDA工房のペーパーライクフィルムのスキンシールを貼りつけました。
また、USB Type-C端子とSurflink端子の周りに自作のフィルムを貼り付けています。
回復ドライブ作った
16GB以上のUSBメモリが必要と言われたので、16GBのOptane M10を接続し作成しました。
Surface Pro 9のSN770Mを引き継ぎました。
Surface Pro 9のM.2スロットはPCIe 3.0 x4なのでSN770Mの実力が出し切れていませんでしたが、Surface Pro 10はPCIe 4.0 x4なのでわかりやすく高速化します。
BitLockerをかけた
XTS-AES 256bitを採用。

SN770Mに換装後にBitLockerをかけたわけですが、まあまあ良い速度です。
総評
家でも外でも使いやすく、ソフトウェア互換性の心配もない、死角なしのオールラウンダーです。
Surface Pro 9を順当に進化させた、Intel版Surface Proの最高傑作と言えるでしょう。
最高傑作という表現は、Lunar Lake搭載のSurface Pro 11が出た後でも適用できると筆者は考えています。理由としては
- 最大メモリ容量がPro 10は64GB、Pro 11 (Intel) は32GB
- 最後の液晶搭載モデル (これは筆者の好みですが)
- バッテリー駆動時間がシリーズ最長
- Intel製CPU + 5Gモジュールが選択できる最後のSurface Pro
が挙げられます。バッテリー駆動時間は、公称値の比較であればPro 11のSnapdragon機も含めてシリーズ最長です。シリーズ全体を見渡した時に、このSurface Pro 10のクオリティはかなり高いといえると思います。
このSurface Pro 10の唯一にして最大の残念なポイントは、やはり法人向けのみの展開であったことでしょう。この最高傑作といえるSurface Pro 10が、個人向けとしてマトモなルートで購入できなかったことが残念でなりません。
今後筆者がSurface Proシリーズを購入していくかは未定ですが、今後のPC選びは何かしら妥協が必要だろうなという覚悟を決める必要がありそうです。
Surface Pro 10にはできるだけ長生きしてもらいたいです。
余談
「サがつく、Surface」とは何かというものすごくどうでもいい話です。
元ネタは少し前にMicrosoftが公式で展開していたキャンペーンのキャッチコピーです。
Surface Pro 9はこのキャンペーンの対象機種でした。
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