roricaの殴り書き板。

メモ用紙みたいな

安い自称USB4 SSDを買ってみたらハズれだった

季語に蝉が入った俳句ってどのくらいあるんですかね

 

経緯

ネット見てたら自称USB4ケースを見つけてしまったのが運の尽きです。

楽天でHIKVISION HS-ESSD-EliteX-512という、自称USB4な外付けSSDを約9,000円で見つけたので買ってみた話です。

USB4ケース単品で1万円前後することを考えると、まあ安いです。

調べてみると、今年の1月に秋葉原の実店舗で安売りされていたようです。その人たちからの評判は良いようですが、果たして。

 

届いた

 

意外としっかりした箱です。

他方、「USB4.0」という表記を見た瞬間に、ああこれは黒だなと確信しました。

 

箱の中にはSSD本体と、USB Type-Cケーブル(不燃ごみ候補)、USB Type-C to USB Std-A変換アダプタ(不燃ごみ)が入っていました。

  

よくわかりませんが、Elite Xというシリーズのようです。

どこぞの法人向けPCとは関係ありません。

本体はかなりシンプルかつ高速な外付けSSDとしては小型な部類です。


いろいろ繋いでみる

ここから検証パートですが、特筆なければケーブルはThunderbolt 4ケーブルを使用しています。

 

Surface Pro 9に繋いでみる

Surface Pro 9はThunderbolt 4ポートを2ポート備えていますが、どちらも機能は同じです。

まず、CDIを読んでみました。

Writeが公称1,800MB/sなところから嫌な予感はしていましたが、中身はHIKSEMI製の、所謂蝉族SSDです。

PCIe 3.0x4でリンクしているようです。

 

次に、CDMでテストをしてみました。

Writeは見なかったことにするとして、Readはまあまあな速度が出ています。

この時点ではまだASM2464PDの可能性が0とは言い切れないので一応白々しく「USB4?」なんて書いています。

 

最後に、Windowsの設定からUSB4ルーターのステータスを見てみます。

ベンダーID 8086はIntelです。あー。

 

MacBook Proに繋いでみる

MacBook ProはThunderbolt 4ポートを3ポート備えており、機能はすべて同じです。

AmorphousDiskMarkでテストしてみます。

こちらもReadは悪くないです。

 

Blackmagic Disk Speed Testはこんな感じ。

正直にいうと使い方がわからないのでこのブログではあまり使っていません。

 

さて、皆さんお気付きかと思いますが、ここで答え合わせです。

モード:Thunderbolt 3

つまり、このSSDはUSB4製品ではありません。

 

分解してみる

裏に六角タイプのねじがあるので開けるのですが、筆者が使っているドライバではサイズが合わず、星形ドライバで開けました。

開腹自体は簡単ですが、どうもUSB Type-C端子側はシールになっているようです。剝がすのが面倒なので片側だけ浮かせて基板を取り出しました。

 

JHL7440とJMS583を組み合わせた、Thunderbolt 3またはUSB 10Gbpsケース、というのが答えです。

SSD俳句蝉HIKSEMI製とのことですが、コントローラーはMaxio MAP1202A、NANDはHKN6T1TBAB132C1です。実際の性能はともかく、大手メーカー製でない時点で筆者は日常用途には使用しないですね。

 

Gen4 SSDを載せたらどうなるか

みなさん、こうは思いませんか。

Eliteとか名乗ってるくせに書き込みがしょぼいと。

やる気が全く感じられないため、見出し通り、Gen 4 SSDであるEXCERIA PROに載せ替えてみます。

そしてSurface Pro 9に接続。

このケースはPCIe 3.0x4までのサポートのようです。というか、Thunderbolt 3自体がPCIe 3.0x4までだったような。

速度的にはPCIe 3.0x4で頭打ちになっているような感じですが、書き込みポリシーを有効にしているにもかかわらずWriteが遅いです。

 

USB 10Gbpsケーブルを使うとどうなるか

見出し通り、USB 10Gbpsケーブルを使用します。

JMS583側が動いてUASPになるかと思いきや、PCIe 3.0x4でリンクしています。

どういう状況なのか、USB4ルーターの状態を確認してみます。

どうやらThunderbolt 3 20Gbpsでリンクしているようです。そういえばThunderbolt 3も20Gbpsありましたね。

CDIでベンチ回してみます。

微妙にWriteが遅くなる現象なんでしょうね。

 

MacBook ProにもUSB 10Gbpsケーブルで繋いでみました。

こちらもThunderbolt 3 20Gbpsでリンクしていることが確認できます。Macのシステム情報はわかりやすくてありがたいです。

MacだとWriteもいい感じの速度が出ています。AmorphousDiskMarkがどこまで信頼できるかはさておき。

 

USB Std-A端子に繋いでみる

リンクスピードはおそらくUSB 5Gbps。

ここで、ようやくJMS583が登場。

速度遅すぎ。後から考えてみたら、書き込みポリシーの設定切れてるかもしれない。

 

使い道を考える

このSSDはUSB4のThunderbolt 3互換機能に全投げすることでUSB4っぽく振舞うだけの、Thunderbolt 3 SSDです。一応JMS583を積んでいるのでThunderbolt 3互換を備えないUSB4機器等では最悪でもUSB 10Gbpsで動かすことができます。

で、筆者のPCは毎度のことながら異様なほどにIntel機に執着しているため、実のところThunderbolt 3で動いてもらっても問題が無い訳です。

ということで、検証で突っ込んだEXCERIA PROをそのまま取り付け使用することにしました。また、高速ながら比較的小型なため、BitLockerをかけて持ち出し用SSDとして使用したいと思います。Surface Pro 9はUSB 3系のデバイスだと電力を出し渋る悪癖があります。これのせいでEXCERIA PROとUSB 3系のSSDケースでは使用することができずEXCERIA PROが余るという悲惨な状況ができていましたが、Thunderbolt 3では十分な電力を供給するようなので、今回の偽USB4ケースによってEXCERIA PROの救済ができました。

 

総評

USB4と書かれていたのでASM2464PDが入っている可能性に賭けて買ってみましたが案の定ダメですね。安物買いのなんたらです。

中のSSDと付属品はタダでも要りません。が、筆者宅にあるPCはすべてThunderbolt 4対応つまりThunderbolt 3の下位互換機能を備えているので一応使い物にはなります。ASM2464PDではなくJHL7440搭載品だと問題になるケースは、例えばRyzen搭載PCです。RyzenなPCはUSB4は備えていてもThunderbolt 3互換モードの動作に問題があるor互換モード非搭載な製品があるらしく、Thunderbolt 3でリンクできない以上USB 10Gbpsが上限値になってしまいます。ASM2464PDであればUSB 40Gbpsでリンクできることを考えると、汎用性にやや難があるといえます。また、ASM2464PDは一応Thunderbolt 3と互換性があることになっており、やはり汎用性が高く、PCIe 4.0x4にも対応しています。今から買うのであれば、ASM2464PD一択です。自称USB4.0なんて、微妙な製品を買う理由はありません。

今回の製品に限らず、JHL7440を採用するなら最初からThunderbolt 3 SSDとして売っておけば多少印象は良いと思うのですがダメなんですかね?USBコントローラーも付けたので遅くはなるけどRyzenでも使えますとか。そんなにUSB4.0(笑)に拘りたいならASM2464PD載せてこいって話です。