roricaの殴り書き板。

メモ用紙みたいな

手持ちPCのThunderbolt 4ポートがUSB 3.2 Gen 2×2に対応しているか調べる話

同じ20Gbpsですがアイツは他人です

 

 

筆者の手持ちPC

筆者は14インチ M2 Pro MacBook Pro とSpectre x360 14-euという2台のPCを所有しています。どちらのPCもThunderbolt 4ポートを備えていますが、今日はその話です。

 

Thunderbolt 4の優秀さ

Thunderbolt 4が優れている点として、性能差が少ないことが挙げられます。

前世代のThunderbolt 3や、現在普及しつつあるUSB4はオプション機能が多く、一口に「Thunderbolt 3」とか「USB4」とか言っても、機種によってある機能をサポートしていたり、していなかったりします。

一方のThunderbolt 4は最低要件が比較的厳しく、機種によって機能の差が少ないという、ユーザーにとっては地味に結構ありがたいメリットが存在します。

どっかのIなんとかtelが余計な事をしたためそのメリットはやや揺らぎつつありますが、とりあえず今回その話は置いておきます。

Thunderbolt 4はThunderbolt 3と下位互換性があったり、USB4をサポートしていたり、DisplayPortを内包していたり、USB PDで給電できたりするので、まあPCのUSB Type-C端子でできること大体全部入りといっても過言ではないです。デザイン的な観点からポートが減りつつあるノートPCの、心強い味方です。

 

しかし性能差も存在はする

そんなThunderbolt 4の数少ない性能差の1つに、USB 3.2 Gen 2×2のサポートがあります。

Thunderbolt 4はUSB4 (40Gbps) やUSB 10Gbpsについては必須である一方、USB 3.2 Gen 2×2のサポートだけはオプションになっています。

で、実際のところUSB 3.2 Gen 2×2をサポートしているThunderbolt 4ポートは現状少ない印象です。これは、メーカーがケチというよりはハード的な制約が原因かと思われます。

 

しかし状況が変わったようだ

Raptor Lake以降、Hayden Bridgeというリタイマーが登場し状況が変わります。

従来のBurnside BridgeではUSB 3.2 Gen 2×2のサポートはしていませんでしたが、Hayden BridgeではUSB 3.2 Gen 2×2に対応。ついでに内包するDisplayPortのバージョンが1.4から2.1になりました。

ただしRaptor LakeではHayden BridgeとBurnside Bridge両方に対応しているため、Raptor LakeであればHayden Bridgeという訳ではありません。

実際、Raptor Lake世代でUSB 3.2 Gen 2×2のサポートを謳っているPCが見当たらないあたり、殆どのPCはBurnside Bridgeを採用しているのではないかと思います。

 

Spectre x360 14-euの気になる仕様

Spectre x360 14-euではUSB 3.2 Gen 2×2をサポートしていると明記してはいません。

一方、公式のスペック表には、内包しているDisplayPortのバージョンが2.1であると書かれています。つまり。。。

 

今回の話のややこしいところ

ゴチャゴチャいろいろ書いてますが、今回の記事は「Thunderbolt 4ポートでUSB 3.2 Gen 2×2は使えるのか」という話です。

Thunderbolt 4 (USB4) の転送速度は最大40Gbpsですが、USB 3.2 Gen 2×2は20Gbpsです。転送速度的には内包していそうなのに、サポートしていない機種がある (というか多い) のがより混乱を招きます。

ちなみに、USB4もUSB 3.2 Gen 2×2の後方互換はオプションです。まあ、Thunderbolt 4がUSB4を使用している規格なので当然ではあります。

 

検証してみた

筆者はこの辺の仕様に詳しくないため、調べることにしました。

調べ方は簡単、USB 3.2 Gen 2×2な外付けSSDを調達すれば良いのです。

 

調達したSSD

WD Black P50 Game Drive 4TB

なんか中古でサクッと調達できたので。

一応コイツについて軽く触れておくと、USB 3.2 Gen 2×2な外付けSSDです。

今回分解はしていませんが、中はM.2 SSDが丸ごと入っているようです。中身はSN730EというSSDで、DRAM付きかつSSD自体は3000MB/sくらいでるらしい。

 

検証方法

検証方法は簡単です。

ベンチ回してUSB 3.2 Gen 2×2の上限値である2000MB/sくらいまで出ればUSB 3.2 Gen 2×2に対応していることになり、1000MB/sくらいまでだったら非対応という話です。

SSD側のUSB 3.2 Gen 2×2は後方互換性があるため、PC側がUSB 3.2 Gen 2×2に対応していなかった場合でもUSB 3.2 Gen2として動作するはずです。

 

Spectre x360 14-eu

Spectre x360 14-euは、機能が同じThunderbolt 4ポートを右側面に2ポート備えています。

書くことも無いので早速ベンチ結果貼ります。

あとはタスクマネージャのスクショとか。

USB 10Gbpsを大きく上回る速度が出ています。USB 3.2 Gen 2×2で接続できているとみて問題ないでしょう。

他方、Spectre x360とP50の相性が良くないらしく、SSDの認識が安定しません。速度はともかく、日常的にはあまり使いたくない組み合わせです。

 

M2 Pro MacBook Pro

MBPのThunderbolt 3ポートで検証してUSB 3.2 Gen 2×2で20Gbps出ないことを検証している人はいたものの、Thunderbolt 4搭載Macで試している人は見つけられなかったので試します。

コミュニティで「USB4は下位互換あるからUSB 3.2 Gen 2×2は20Gbps出る」と、何やらいい加減なことを書いている人はいました。

蛇足ですが、Thunderbolt 3は確かUSB 3.2 Gen 2×2をサポートしないはずです。

どう見てもUSB 10Gbpsの上限値です。

M2 Pro MacBook ProのThunderbolt 4ポートはUSB 3.2 Gen 2×2をサポートしていないようです。

というかMacならシステム情報から容易に答え合わせができるんですけどね。

 

まとめると

USB 3.2 Gen 2×2はSpectre x360 14-euのThunderbolt 4ポートではサポートされているが、M2 Pro MacBook ProのThunderbolt 4ポートではサポートされていない、という結果に。

 

余談

Meteor Lake世代のノートPCでThunderbolt 4ポートが付いてるPCだと、USB 3.2 Gen 2×2のサポートが明記されているPCがチラホラあります。

DELLとかが出してるTiger Lake、Alder Lake世代のノートPCでUSB 3.2 Gen 2×2のサポートを謳っているものがありますが、ハード的に対応していないはずなので恐らく誤記、多分20Gbpsでないと思う。

そうそう、同じ20GbpsですがUSB4の20GbpsとUSB 3.2 Gen 2×2は別物です。

 

総評

現状Thunderbolt 4ポートにはUSB 3.2 Gen 2×2をサポートしているPCとしていないPC都がいる訳ですが、していないと大損かと言われると、別にそんなことはないと思う。確かにサポートしていて損はないのですが、USB 3.2 Gen 2×2自体がかなりマイナーな規格であり、対応PCが少ないのと同時に対応周辺機器自体も少ない状態です。

USB 3.2 Gen 2×2なSSDエンクロージャは性能や使い勝手が微妙な割に価格が高く、純粋なUSB4 SSDエンクロージャが出てきた今となっては正直選ぶ理由がありません。

Thunderbolt 3 SSDであればThunderbolt対応機器でないと使用できないという制約があったため、USBで使えて下位互換のある最速のSSDエンクロージャとなるとUSB 3.2 Gen 2×2でした。

しかし今はUSB4が下位互換性を持ちつつ、対応機器であれば3000MB/sでR/Wできる製品があるため、今からあえてUSB 3.2 Gen 2×2を選ぶ必要は無いように感じます。

そんな過去でも現在でも未来でも存在感の薄い、USB 3.2 Gen 2×2に対応しているか調査したお話でした。